桑原武夫教授が本学の脳神経外科学教室の初代教授としてお迎えできたことは私共一同にとってよろこびにたえません.
教授はエガス・モニスがはじめて脳血管撮影を行った昭和2年に出生され,東大医学部を昭和26年に卒業され,清水外科に入局され一般外科および脳神経外科を専攻され,昭和42年関東逓信病院脳神経外科部長になられ,この間東大講師を兼任されておられました.
小生が昭和36年東大清水外科へ脳神経外科研修のため2年間内地留学をした時は病棟講師をして居られこの間手術の指導をしていただいたり,病棟での術前術後の管理について教えていただいたりしましたが,非常に懇切丁寧に教えて下さり,それが小生ばかりではなく,他の医局員にもそうなので“おとうちゃん”というニックネームをつけられていた程に親切で温厚な方でした.
これからは小児脳神経外科を中心に研究して行かれるとのことです.
昭和49年2月1日 倶進会ニュース『新任教授の横顔』より抜粋